予算額1兆円超、1社あたりの補助金額最大1億円、補助率2/3という大型補助金として、いま話題の「事業再構築補助金」。補助金のプロの視点から、話題の補助金の重要ポイントを解説します。4回目は「活用イメージ」について。
【事業再構築とは】思い切った事業の転換・新分野への進出
事業再構築の定義等については、経済産業省から発表される「事業再構築指針」を参照する必要があります。
公開資料(事業再構築補助金リーフレット、事業再構築補助金の概要)で示されている、この補助金の目的や対象からは、「事業再構築」とは、次のような“ポストコロナ・ウイズコロナ時代に対応した、思い切った事業転換・新分野進出”を指しているのではないかと思われます。
「事業再構築」とはどのような取組を指すか
- ポストコロナ・ウイズコロナ時代において生き残っていくための新たな挑戦
- 先行きが不透明な既存事業からの脱却、新事業分野への進出
- 既存事業の縮小・廃止も視野に入れた異業態・異業種への転換
【活用イメージ】経営資源を活かした新たな取組み
『事業再構築補助金の概要』(令和3年2月15日)で紹介されている活用イメージから、具体的な事例をいくつかピックアップしてみます。
①【小売業での活用例<業態転換>】紳士服販売
<ポイント>
- コロナの影響で店舗販売が低迷。新たな業態への転換が緊急課題
- これまで培ってきた商品知識やノウハウ、取引先とのネットワークを活かす
- 新たにオンラインでの商品の提案・販売事業、サブスク型でのレンタル事業に業態転換する。
<補助対象経費例>
- 新規に導入するオンラインサービスのシステム構築費
- 新サービスの広告宣伝・販促費(Webサイト構築、ネット広告、販促物制作等)
- 新サービスに従事する従業員の研修費
- 店舗の縮小・撤退に係る建物の改修・撤去の費用
②【サービス業での活用例<新分野展開>】
<ポイント>
- コロナの影響で高齢者向けデイサービス・介護サービスの利用者が減少。
- 既存事業を他社に譲渡。新分野に進出するため別企業を買収
- 病院や高齢者施設向けの給食の製造、事務処理の受託サービス事業を開始
<補助対象経費例>
- 既存施設の改修費用
- 新サービスに必要な機器の導入費
- 新サービスに従事する従業員の研修費
- 新サービスの広告宣伝・販促費(Webサイト構築、ネット広告、販促物制作等)
③【製造業での活用例<新分野展開>】
<ポイント>
- コロナの影響で顧客の業績が低迷し需要が減少。既存分野では売上回復が困難
- 得意とする製造技術(精密加工、小量・短納期等)を活かし新分野に進出
- 将来性があり、高単価受注が期待できる医療機器向け部品製造を開始
<補助対象経費例>
- 新商品の製造に必要な設備の導入
- 既存の製造設備の廃棄費用
- 新商品の製造ラインのための建物の改修費
- 新商品製造に従事する従業員の研修費
- 新サービスの広告宣伝・販促費(Webサイト構築、販促物制作等)
【その他の活用イメージ】
コロナの影響により既存事業が低迷し、将来への展望が見通せない状況であることを前提に、新たな業種・業態への思い切った転換、新分野への進出が、事業再構築補助金の活用イメージとして挙げられています。ここに紹介されている以外の業種においても、さまざまな活用方法が考えられるのではないでしょうか。
新分野・新事業への展開には、これまでの培ってきた経営資源(技術、ノウハウ、ネットワーク等)を活かすだけでなく、他企業との合併や買収、提携なども含まれるように思われます。
<参考資料>
■中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」 事業再構築補助金に関するお知らせページ
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/